稽古の前後の礼式の時は、正座をして手はひざの上で指先を伸ばし親指を内側に入れ、「手刀」を取ります。
これはもちろん正座がより美しく見えるということもありますが、武士の時代は「手刀」が自分の身を守る最終手段と考えられていました。
丸腰(刀を帯びていない)の状態で、相手がいきなり切りかかってきても、「手刀」で相手の頸動脈(けいどうみゃく:首筋の部分)を打つことで重大な損傷を与えることができるのです。
「手刀」は、どんな時でも気を抜いていないという意思表示であり、また、武士のさりげなく凛とした美しさのひとつでもありました。
日本人としての伝統を受け継ぐためにも、「手刀」は常日頃から意識していたいものです。
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