道場は 神の宮居ぞ 心して 入るも出ずるも 身を清うせよ
道場は精神的にも肉体的にも最も緊張した状態のもとで稽古が行われる修行の場です。
道場には神殿を設けて神を祭り、場内を清め、怪我のないように祈り、心を引き締めます。
独自の道場をもたない団体の多くは、学校の体育館や公的施設等で稽古を行うため、神殿を設けられない場所もありますが、その場合もそれぞれが道場の正面中央に神殿をイメージして、どの稽古場所であっても道場としての雰囲気づくりを心掛けます。
また、道場は素足で歩き、直に正座する場所であるので、それぞれが床を雑巾がけしていたわることで、怪我の予防になるだけでなく、足腰や心の鍛錬にもなります。
体育館等はモップがけをするところもありますが、いずれにしても道場として使用する場所を常に清める心は、道場の雰囲気づくりに役立ちます。
少年道場のM君は、ここ数年間、毎日、誰よりも早く道場に来ています。
M君は、道場に着くとすぐにバケツに水を汲み、ひとり黙々と道場の隅から隅まで雑巾がけをしています。
他の友達が来る前には雑巾がけを終えて、鏡の前で素振りをしたり構えをチェックしたりしています。
M君は、小学5年生頃までは同級生の中でも試合にはあまり勝てず、大会でも補欠ばかりでしたが、こつこつと努力を続けたおかげで剣道も強くなり、小学6年生になると大会で何度か優勝したり、少年玉竜旗では11人抜きも果たすほどの力をつけました。
そういった日々の模範的な行いが道場に認められ、年末の納め会でM君は特別賞を受賞しました。
このように、良い環境の感化力は、ひとりふたりの指導者の教導よりも、遙かに偉大な感化力を持つものです。
特に幼少年にとっては、無言のうちに感化し、善導するものですから、道場の環境づくりに対しては、特段の配慮を払わなければなりません。
コメント