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「私のねがい」
西雄館(五島・馬場道場)初代館長 馬場 武雄先生
私が指導育成している愛し子たちに対して、特に保護者に対して切望している二つの点がある。
一つは子供を将来どの学校に入れたいとか、どんな職業に就かせたいと考える前に、この愛し子をして「どんな人間になってもらいたい」と、それを第一に真剣に考えてほしいと思う。
私は道場教育によって、この愛し子達が生涯中に、あらゆる困難辛苦や困苦欠乏に逢着しても、それを克服し乗り越えてゆく強靭な不屈不撓の「生命力」をこの修行によって備えさせたいと念願しているものである。
最近、世の親の中で、この人生中で最も身体智能が急速に伸びて、生涯を左右するといわれる幼少年期に「学習が大事だから」と、この人生を決する「生命力の研修」を中止したり、断絶する人々が見られるが「健全な身体に神宿る」「生命あっての物種」である。
学問や事業は生涯を通じて、何度でも何度でも挑戦や再起はできるが、「人間づくり」「生命づくり」は待ったがないのである。
古人の「鉄は焼けたうちに鍛へ」の訓えは切実である。
何卒この二点は愛し子のためばかりでなく、子孫のために心肝に銘じて頂きたいと希うものである。
(昭和四十五年)
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